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【更新日】2023/09/11
外壁の工事は「湿式工法」と「乾式工法」の2つの施工方法に大きく分けられます。違いとしては、それぞれ作業手順や特徴が異なることです。
リフォーム業では聞くことの多い言葉ですが、一般に日常では耳にすることがないかと思います。そのため、「どんな違いがあるかよく分からない」という方も多いはずです。
こちらの記事では「湿式工法」「乾式工法」の二つの特性とどんな住宅に使われるか、それぞれの施行相場についてご紹介いたします。
ご自宅の外壁がどちらの工法を用いているのか、また家の新築を検討中の方はどちらの工法を選択するべきなのか、この記事を読んで少しでも参考になったら幸いです。
湿式工法(しっしきこうほう)
【特性】
湿式工法は、古くから用いられている日本の伝統的な外壁工法です。モルタルやコンクリート、漆喰、土壁、石膏などの塗り壁材を現場で水と混ぜて練り、それを職人が刷毛やコテを使って下地材の上から塗って仕上げていく工法です。故に、職人の経験と技術が必要とされます。工事期間が長く、コストと手間がかかってしまうことから、昔に比べると現在ではあまり主流ではなくなってしまいました。しかし、仕上がりはパネルを張り合わせる乾式工法よりも、湿式工法の方が素材感や味わいが感じられます。
【主な外壁】
【メリット】
→材料の調合を現場で行うため、施工前に色合いや質感などを実際に確認していただくことができます。また、刷毛やコテなどの道具を用いることで、他にはないオリジナルのデザインとなります。
→湿式の壁材は強アルカリ性の性質を持ちます。強アルカリ性はタンパク質を分解するため、カビなどが発生しにくく長く美しい状態を保つことができます。
湿式の壁材は微細な穴が多数空いているため、空気中の湿気を吸収して放出する機能があります。それにより結露が発生しにくくなります。
→タイルや石を貼り付ける外壁の接着にモルタルなどを用いる場合があります。湿式工法を用いることによって選択できる素材の幅が広がります。また、職人の手作業によってサイディングボードの外壁では表現できない味わいとなります。
【デリット】
乾式工法(かんしきこうほう)
【特性】
乾式工法は、工場で生産されたパネルや合板などの既成部材を施工現場で取り付ける工法です。代表的な外壁はサイディング壁と言い、現在の住宅はこちらが主流となっています。こちら熟練の職人技術が必要なく、マニュアル通りに施工すれば一定の品質で仕上げることが可能です。また、乾燥期間を必要としないので天候にも左右されず、後期を短縮できます。
【主な外壁】
【メリット】
【デリット】
湿式工法と乾式工法はそれぞれ、どのような住宅で用いられるかについて簡単に説明いたします。
【湿式工法の外壁を用いる主な住宅】
【乾式工法の外壁用いる主な住宅】
工事にかかる費用は、湿式工法と乾式工法の外壁で異なります。塗り壁で工期が長く、手間のかかる湿式工法はコストが高くなる傾向にあり、ボードを取り付ける乾式工法は比較的コストを抑えられると一般的に言われています。
それでは、各工法の相場を見ていきましょう。
【湿式工法(塗り壁)の施工費用】
【乾式工法(サイディング)の施工費用】
詳細な工事内容や外壁の面積により費用は異なりますので上記の相場はあくまで目安です。
最近は住宅に限らず、建築業界全体が湿式工法から乾式工法にシフトしている傾向にあります。
その最大の理由の一つが工期の短縮です。
工期短縮は発注者と供給者共に大きなメリットで、現場での作業が少なく、工場生産品を多くする事で品質管理が簡単になります。
湿式工法は職人の技量によって仕上がりに反映するため、腕の良い熟練の職人が必要ですが、乾式工法はマニュアル通りの施工をすれば一定の品質で仕上がります。
また、数十年前と比べると左官職人の数が大きく減少傾向にあることも理由の一つです。
しかし、乾式工法は管理がしやすいなどの実用的なメリットはありますが、「建築としての面白み」はそれほどありません。
反対に、湿式工法が見直されている点もあります。それは、「塗り壁の部屋は空気の質が良い」ということです。塗り壁は湿気を防ぐ効果があり、カビやダニの繁殖を抑制して空間のニオイや有害な物質を吸着・除去するという性質を持っています。
故に、室内環境を健やかに保つことのできる、人や生き物にやさしい天然素材です。現代において、天然素材を好む人や、より良い環境下での生活を目指す人々が増えてきています。
このように、乾式工法と湿式工法はそれぞれ目指す方向性が異なるため、今後乾式工法が多くなっても湿式工法が完全になくなることはないと考えられます。
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